外科矯正とは、歯だけではなく、骨格的な要因が大きい場合に、通常の歯科矯正治療に加えて、手術により顎の骨を動かすことで、噛み合わせを改善する治療法です。

顔の非対称や著しい受け口など、上下顎の位置のズレが大きい場合(顎変形症)、外科的手術(あごの骨の手術)を併用して矯正治療を行います。

この外科的な手術を用いた矯正治療を外科的矯正治療といいます。
歯列矯正の治療だけでは、十分な噛み合わせを確立することが困難な場合に、この外科的矯正治療を適応します。

認可を受けた医療機関で治療する場合、矯正治療と外科手術は、すべて健康保険が適用されます。

目次

・外科矯正とは？

・顎変形症とは？

・外科矯正のメリット

・治療の流れ

・当院の外科矯正

・外科矯正の保険適用

・外科矯正の治療症例

・外科矯正のよくある質問

外科矯正とは？

冒頭でもお伝えしましたが、ワイヤー矯正やインプラント矯正など、歯の移動だけでは矯正しきれない、顎の骨など、骨格的な要因が大きい場合は、通常の歯列矯正治療に加えて、外科的な手術も組み入れて、顎の骨を動かし、歯並びを矯正していきます。

この治療方法を、外科矯正、外科的矯正治療といいます。

外科的矯正治療は、外科手術前の矯正 → 外科手術 → 外科手術後の矯正 の順で進めていきます。

顎変形症とは？

顎変形症とは、反対咬合・上顎前突・開咬・下顎骨の偏位などで、上下顎の位置のズレが大きくなり、そのアンバランスさが原因で、噛み合わせの不全が起こる症状のことです。

通常の歯列矯正治療での歯の移動には限界があります。

噛み合わせのズレが歯の移動の限界を超えていて、歯列矯正治療だけでは改善が難しい場合には、外科的な手術を併用して歯列矯正治療を行います。

外科矯正のメリット

・歯の治療だけでは矯正できない症状にも対応可能
・顎の骨格改善により噛み合わせや発音も改善
・歯や口元だけではなく顔全体のバランス改善が期待できる


上下顎のサイズ・形態・位置関係に著しい不調和がある場合、外科的矯正治療(通常の歯列矯正治療の途中に外科手術を実施)を行います。

この外科矯正治療により、歯並び・噛み合わせはもとより、顔の左右の歪みなど顔貌の劇的な改善が期待でき、長年のコンプレックスから解放されるでしょう。

治療の流れ

１）　外科手術前の矯正　(1年半～2年)

外科手術後の噛み合わせが安定するように、まず通常の歯列矯正を行います。
親知らずの抜歯など、必要な前処置も済ませます。

２）　外科矯正手術

外科手術は、全身麻酔をして、すべて口の中から行います。
顎骨を離断し、位置決めを行い、離断した顎骨をビスやプレートにより固定します。

手術時間は、片方の顎のみの場合は約１〜２時間、上下になると２〜３時間です。
手術に際しては10日程度の入院が目安となります。

手術後は、切った顎を安静に保つために、上と下の顎が動かないように、1週間ほど固定（上下歯列の間を小さな輪ゴムで留める）します。

手術をした部分の骨が治って、十分な強さを取り戻すまでの期間目安は半年です。

３）　外科手術後の矯正　(1年～1年半)

より緊密な噛み合わせになるように、歯列矯正の治療を行います。

当院の外科矯正

外科的な手術を用いて矯正治療を行うにあたり、患者さまが不安なく手術に臨め、良い結果を得るために、当院では以下の点について、徹底しております。

・手術後の顔貌について、過去に治療した数多くの症例の中から、同じような外科矯正の症例データを元に説明を行っております。
・術後の噛み合わせが安定するように、何度も歯型を取りながら、特に手術前の矯正治療を非常に厳密に行っております。
・顎変形症の手術の経験豊富な口腔外科専門医との連携を極めて密に保って診療を行っております。

※
当院は県の認可を得て、外科的矯正治療を健康保険適用（病名は顎変形症）で治療しております。

治療費のご負担はかなり軽減されます。

当院は都道府県から「顎口腔機能診断施設」として認可を受けた医療機関で、この認可を受けた医療機関で顎変形症の治療を行う場合、矯正治療は健康保険が適用されます。

外科矯正の保険適用

認可を受けた医療機関で外科矯正の治療を行う場合、歯列矯正治療と外科手術は、すべて健康保険が適用されます。

また、高額療養費制度を利用することが可能です。

外科矯正の治療症例

Ⅰ.下顎に対する手術方法

下顎骨が大き過ぎる場合、また逆に、小さ過ぎる場合は症状に応じて、主に以下のような手術方法があります。
口の内から手術しますので、顔にキズが残る心配はありませんのでご安心ください。


左右の親知らずを前もって抜歯します。
下顎の骨を内側と外側に分割し、歯がついている内側の骨を正しいかみ合わせ位置に移動させ、チタンプレートで内側の骨と外側の骨を固定します。
骨が完全にくっついた後、チタンプレートは除去します。

Before

After

Ⅱ.上顎に対する手術方法

上顎が前に出過ぎたり、逆に、上顎が小さ過ぎて 顔面の中央部に凹感がある場合、
あるいは、顔面が左右非対称な場合には、上顎に対して以下のような手術が行われます。

ルフォーⅠ型骨切り術
（Le Fort Ⅰ osteotomy）

Before

After

Before

After

斜めになっていた唇が治り、笑顔に自信が持てるようになりました。

上顎前方部骨切り術
(anterior maxillary osteotomy)

上顎の左右側の第1小臼歯(*)を抜去して、それより前方部分の骨と歯を一塊として、後方に移動・固定してあります。

Before

After

Ⅲ.オトガイに対する手術方法

オトガイ(下顎の先端部分)が著しく出ている場合、あるいは逆に小さすぎて貧弱な場合、同部を手術して自由に形態を整えることができます。


下顎骨の移動術を行った後、あご先（オトガイ）を修正する手術です。
この手術は、かみ合わせには関係しませんが、輪郭やフェイスラインをすっきりさせ、顔面のバランスを整えるために行います。
手術は、全て口の中から行うので傷あとは残りません。
手術時間は30分程です。

オトガイ前方移動術

Before

After

いわゆる『あごがない』状態でしたが、
手術後すっきりした横顔になりました。

オトガイ後方移動術

Before

After

悩みだったあごの形がすっきりしました。

外科矯正のよくある質問

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